フェライトコアに関する技術資料

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技術資料

 電磁波ノイズの減衰原理

フェライトコアを取り付けたケーブルは、コアによりインピーダンスが付与されます。

ケーブル内を流れる電磁波ノイズ電流は、付与されたインピーダンスにより抑制されると共に、抵抗分により熱に変換されて減衰します。

高い周波数帯ではコアは殆どが抵抗分となるため、低い周波数帯よりも電磁波ノイズの減衰効果が大きくなります。

 効果例

下図にノイズ対策効果例を示します。

これはセット間のケーブルに装着有無による輻射ノイズを測定したもので、図1が対策前、図2が対策後です。

対策前に比べて対策後の輻射ノイズは著しく減衰しており、フェライトコアによるノイズ対策は非常に効果的である事が分かります。

装着なし

図1 装着なし

両端装着

図2 両端装着

 ケーブルの巻数とコア数によるインピーダンス

1ターンでインピーダンスが足りない場合、2ターン、3ターンと巻数を増やすことでインピーダンスを大きくすることが出来ます。

インピーダンスはターン数の2乗倍で大きくなります。

ただし、図3に示す通り高周波では線間容量の影響である周波数を越えるとインピーダンスが減少するため、適応周波数を考慮する必要があります。

フェライトコアの使用数を増やすと図4に示す通り、使用数に比例してインピーダンスは増加します。

1ターン

1ターン

2ターン

2ターン

3ターン

3ターン

インピーダンスと巻数の関係

図3 インピーダンスと巻数の関係

インピーダンスとコア数の関係

図4 インピーダンスとコア数の関係

 ギャップ

後付けする場合、分割型を使用すれば簡単に取り付ける事が出来ます。

分割型の切断面はギャップが生じない様に加工されているため、図5の分割型と非分割型を比較しても特性は殆ど変わりません。

但し、塵などが切断面に入りギャップが生じると図5のギャップに示す通り低い周波数でインピーダンスが大幅に低下しますので、切断面に塵などが入りギャップが生じない様に取り付けて下さい。

インピーダンスとギャップの関係

図5 インピーダンスとギャップの関係

 コモンモードノイズの減衰方法

コモンモードノイズの減衰方法

2本の信号線または電源線を同一方向に流れ、グランドを帰還するコモンモードノイズは、2本の信号線または電源線に取り付けることで、信号成分には影響を与えることなく、ノイズ電流の磁束のみがコア内で消費され電磁波ノイズを減衰させることができます。

ノイズ電流と信号電流

 ノーマルモードノイズの減衰方法

ノーマルモードノイズの減衰方法

ノイズ電流と信号電流

信号成分と同じ経路で流れるノーマルモードノイズは、2本の信号線または電源線にそれぞれ取り付けることで、電磁波ノイズを減衰させることができます。

但し、ノーマルモードノイズの場合、飽和磁束密度を考慮する必要があります。

この場合、信号電流とノイズ電流による磁束が加わります。

フェライトコアの飽和磁束密度を越える電流が流れると飽和し、ノイズ除去の効果が少なくなります。

2024年12月 6日 金曜日